お知らせ

麻酔科専門医試験対策のページもよければ見て下さいね(^^)

2014年9月21日日曜日

輸血のお話④(不規則抗体主にRh)

Q:不規則抗体って何のことですか?

 不規則抗体とは赤血球に対する抗体のことで、ABO血液型の抗A抗体、抗B抗体以外の抗体のことです。
 この抗体の中には輸血や妊娠に伴なうものや、自然発生するもの、臨床的に意義があるものないものまで含めてたくさんのものがあります。臨床的に意義があるものについては、種類にもよりますが、緊急時を除いて適合血を使用する必要があります。
 もっとも有名な不規則抗体はRh系の不規則抗体です。Rhマイナスなどの用語は医療系の方々でなくともテレビやドラマで聞いたことがあると思います(^^)
 このRh系の不規則抗体では、主にC、c、D、E、eの5抗原が臨床的に重要で、D抗原が最も抗原性が強く、2番目は抗E抗原です。遅発性の輸血副作用や新生児の溶血性疾患の発生要因とされています。一般的にRh陽性(+)やマイナス(ー)と言えば、RhD抗原のことを指します



 一般的に問題になるのは、手術や外傷などでの大量出血に対する緊急輸血時と、RhD抗原陰性妊婦がRhD抗原陽性の胎児を妊娠した場合(血液型不適合妊娠)です。
 Rh(ー)妊婦がRh(+)の胎児を妊娠すると、分娩時などに胎児の血液が母体内に侵入しRhD(+)に対する抗体ができます。第1子に影響がでる(強い黄疸など)ことはほとんどありませんが、第2子以降では、母体内の抗体が胎児の血球を破壊することで貧血が生じるとともに新生児溶血性黄疸がおきます。これは妊娠を繰り返すとともに重症化すると言われています。
 予防として、出産後72時間以内に抗Dヒト免疫ガンマグロブリンの接種を行うことが一般的で、最近では重症の黄疸の頻度は低くなっています。

 大量出血時などにRh(ー)血液が入手困難な場合には、救命のためにRhD(+)の血液を投与せざるを得ない場合があります。ただし、Rh(ー)陰性血液が入手できしだい切り替えなければいけません。特に女児や妊娠可能女性の場合は上記の理由で重要です。
  RhD(ー)患者にRhD(+)血液を緊急投与した場合には、48時間以内に不規則抗体検査を実施し抗D抗体が検出されない場合には抗Dヒト免疫ガンマグロブリンの投与を考慮します(効果は限定的な場合もあり)。抗D抗体が検出されてしまった場合には遅発性の溶血性副作用が生じる可能性が高いとされているため、患者の慎重な観察が必要になります。


0 件のコメント:

コメントを投稿