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2014年9月21日日曜日

輸血のお話⑤(濃厚赤血球液)

Q:RCC(赤血球濃厚液)とはどういうもので、その保存方法や投与基準、輸血の効果予測などについて説明してください。

 RCCはRed Cell Concentratesの略で1単位は140ml(200ml供血由来)。1pac2単位で保存されています。1袋は400mlの血液由来で約280mlです。薬価は2単位製剤で約17000円!高いのやら安いのやら(^_^;)
 保存は2〜6℃の低温で行い、その有効期限は採血後21日間です。
 RCCには保存液も含まれており、そのヘマトクリット値(血球成分の割合)は約60%です(健常者のヘマトクリット値は40%程度)。ただし保存中にじわじわと溶血してしまい、3週間後にはおよそ50%になってしまいます。ヘモグロビンは1単位あたりおよそ26.5g含まれており、1袋で53gです。



 この53gを覚えておけば、おおよその輸血後の上昇ヘモグロビン量を予測できますよね(あくまで出血がコントロールできていればの話ですが・・・(^_^;))。
循環血液量(ml)はおおよそ体重(kg)に70をかけた程度(あくまで予測)なので、体重50kgの人であればおよそ3500ml(=35dL)。つまり、53/35≒1.5程度上昇することになります!
 RCCの開始基準はヘモグロビンの量がこれを切ったから!というものはありません。通常は7.0〜8.0g/dL程度で開始することが多く、6.0g/dLを切ったら必須としている教科書が多いです。
 ただし、高齢者や心臓弁膜症、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)患者や透析を受けている患者には早めに投与されることが多いです(9.0〜10.0g/dL程度で)。(早めに始めることによる有効性についてはエビデンスはないようです)
 
 RCC投与では血清カリウム値とカルシウム値が影響を受けます。
 RCC投与で血清カリウム値が上昇する(保存中の溶血によりカリウムが上昇している)ため、特に透析患者や、術中に大量投与する際には適宜検査を行う必要があります
 輸血製剤に含まれている抗凝固薬のクエン酸化合物とカルシウムが結合するため、血清カルシウム値は低下します(クエン酸中毒)。ただし、輸血による低カルシウム血症は通常一過性で、投与されたクエン酸が肝臓や腎臓で代謝されれば自然に改善します。
 ただし、腎不全や肝不全のある患者では低カルシウム血症が持続する可能性はあります。つまり、最近では輸血時のルーチンのカルシウム投与はしないようです。



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