お知らせ

麻酔科専門医試験対策のページもよければ見て下さいね(^^)

2014年9月30日火曜日

輸血のお話⑪(輸血の副作用の種類)

Q:輸血の副作用による症状と、主な合併症について列挙してください。

 日本輸血・細胞治療学会からは以下の17項目の症状項目が出されています。
  1. 発熱
  2. 悪寒・戦りつ
  3. 熱感・ほてり
  4. 掻痒感・痒み
  5. 発赤・顔面紅潮
  6. 発疹・じんま疹
  7. 呼吸困難(チアノーゼ、喘鳴、呼吸状態悪化など)
  8. 嘔気・嘔吐
  9. 胸痛・腹痛・腰背部痛
  10. 頭痛・頭重感
  11. 血圧低下(収縮期圧30mmHg以上の低下)
  12. 血圧上昇(収縮期圧30mmHg以上の上昇)
  13. 動悸・頻脈(成人で100回/分以上)
  14. 血管痛
  15. 意識障害
  16. 赤褐色尿(血色素尿)
  17. その他

 ※赤文字は重症副作用の可能性が高く、詳細を確認する必要がある、とされています。

2014年9月29日月曜日

輸血のお話⑩(希釈・回収式自己血輸血)

Q:希釈式・回収式自己血輸血って何ですか?それぞれについて説明してください。

 まずは希釈式自己血輸血からお話します。
 これは出血量が1500mlあるいは循環血液量の50%までの手術が適応となり、術前Hb値が正常上限である場合などに考慮されます。太めの静脈ライン・シースより落差で脱血します。そのままだと急性の出血と同じなので、採血量の1.5倍程度の代用血漿を急速輸液します。採血量は通常400〜800ml程度です。
 新鮮な血液なので保存中の汚染などのリスクは少ないですが、投与までは冷蔵保存するため血小板機能はあまり期待できません。

2014年9月25日木曜日

輸血のお話⑨(貯血式自己血輸血)

Q:自己血輸血って何ですか?その意義(利点・欠点)と種類について説明してください。

 自己血輸血とはその名の通り、自分の血液を事前とっておいて手術などの際に輸血する方法です。主な方法として、手術が決まったら、事前に血液を採取しておいて保存しておく「貯血式自己血輸血」、手術直前に静脈ラインより採血して術中に返血する「希釈式自己血輸血」、手術中の出血を専用の吸引管で吸引し、洗浄した後に返血する「回収式自己血輸血」などがあります。最後のはよく「セルセーバー」とか「セル」とか呼ばれることが多いですね(^^)

2014年9月24日水曜日

輸血のお話⑧(異型輸血)

Q:異型輸血について説明してください

 異型輸血ってなんでしょう?異なる型と書いています。普通はA型の人にはA型の輸血を、B型の人にはB型の輸血、同様にOならO、ABならABの輸血を行いますよね。
 通常、ある程度の出血が予想される手術ではT&S含めて輸血が準備されてますよね?出血が想定内であればそれで事足りて何の問題もありません(^^)
 では、想定外の出血が起きた場合はどうしたらよいでしょうか?その場合も大した量でなければ通常の輸液や、そこからの輸血オーダーで間に合う場合がほとんどです(特にA型の場合は)。困るのは出血が収まる気配もなく、オーダーした血液も底をつきそうになり、次の適合血がくるのが2時間後(!)などというときです。そういうときにやむを得ず行われるのが「異型輸血」です。

2014年9月23日火曜日

輸血のお話⑦(濃厚血小板輸血)

Q:濃厚血小板輸血(PC)とはとういうもので、その保存方法や投与基準、輸血の効果予測について説明してください。

 PCはPlatelet Concentrateの略です。1袋(10単位)は約200ml。血小板数は2.0≦〜<2.2×1011入っています。保存方法は20〜24℃で振盪します。振盪する理由としては、そのまま放置すると、詳しい理由は割愛しますがpHが低下(酸性に傾く)し、輸血効果が低下するためです。また、冷蔵すると血小板が活性化して凝集を招いてしまします。
 保存期間はわずか4日間で短く、薬価は10単位製剤で何と約77000円!!貴重なので、有効利用が切に望まれます!!

2014年9月22日月曜日

輸血のお話⑥(新鮮凍結血漿)

Q:新鮮凍結血漿(FFP)とはどういうもので、その保存方法や投与基準、輸血の効果予測について説明してください。

 FFPはFresh Frozen Plasmaの略です。1袋(2単位)は供血400ml由来で容量は約240mlです。薬価は2単位制剤で17000円程度!
 前掲の写真のように薄い黄色をしています。−20℃以下で凍結保存され、その有効期限は約1年間と結構長いです。凍結している理由は、血漿の中には凝固因子を分解する酵素が含まれていて、十分に冷やされていないとその酵素が活性化してしまうからです。
 溶解するのは30〜37℃のぬるま湯の中でゆっくりと溶かします(20〜30分程度かかります)。溶かしたあとは3時間以内に使用しなければいけません。これは時間経過とともに活性を失う凝固因子があるからです。

2014年9月21日日曜日

輸血のお話⑤(濃厚赤血球液)

Q:RCC(赤血球濃厚液)とはどういうもので、その保存方法や投与基準、輸血の効果予測などについて説明してください。

 RCCはRed Cell Concentratesの略で1単位は140ml(200ml供血由来)。1pac2単位で保存されています。1袋は400mlの血液由来で約280mlです。薬価は2単位製剤で約17000円!高いのやら安いのやら(^_^;)
 保存は2〜6℃の低温で行い、その有効期限は採血後21日間です。
 RCCには保存液も含まれており、そのヘマトクリット値(血球成分の割合)は約60%です(健常者のヘマトクリット値は40%程度)。ただし保存中にじわじわと溶血してしまい、3週間後にはおよそ50%になってしまいます。ヘモグロビンは1単位あたりおよそ26.5g含まれており、1袋で53gです。

輸血のお話④(不規則抗体主にRh)

Q:不規則抗体って何のことですか?

 不規則抗体とは赤血球に対する抗体のことで、ABO血液型の抗A抗体、抗B抗体以外の抗体のことです。
 この抗体の中には輸血や妊娠に伴なうものや、自然発生するもの、臨床的に意義があるものないものまで含めてたくさんのものがあります。臨床的に意義があるものについては、種類にもよりますが、緊急時を除いて適合血を使用する必要があります。
 もっとも有名な不規則抗体はRh系の不規則抗体です。Rhマイナスなどの用語は医療系の方々でなくともテレビやドラマで聞いたことがあると思います(^^)
 このRh系の不規則抗体では、主にC、c、D、E、eの5抗原が臨床的に重要で、D抗原が最も抗原性が強く、2番目は抗E抗原です。遅発性の輸血副作用や新生児の溶血性疾患の発生要因とされています。一般的にRh陽性(+)やマイナス(ー)と言えば、RhD抗原のことを指します

輸血のお話③(T&S、交差適合試験)

Q:タイプ&スクリーン(T&S)と交差適合試験とはどのようなものですか?

 ある手術があるとき、ひょっとしたら少し輸血がいる程度の出血があるかもしれない、でも使わない可能性が高いな〜、といった時に、その患者さん専用の血液にしてしまうと、もしその手術で使わなかった場合にもったいないおばけが出そうですよね?他の患者さんで必要な人がいるかもしれないのに!

2014年9月19日金曜日

輸血のお話②(ラベル)

Q:輸血のラベルに書いてあるアルファベットは何のこと?

 輸血製剤のラベルに"LR"や"Ir"などのアルファベットが書いてありますが、何のことがわかりますか?

  この"LR"というのは保存前白血球除去済み(Leukocytes Reduced)の略です。"Ir"というのは放射線照射済み(irradiated)の略です。

2014年9月18日木曜日

輸血のお話①(種類)

Q:血液製剤にはどのようなものがあるの?

 手術室ではよく乳酸リンゲル液(ラクテック®など)や酢酸リンゲル液(ヴィーンF®やフィジオ140®など)や重炭酸リンゲル液(ビカーボン®など)などが点滴ラインにつながっていますね。これらは微妙な組成こそ違っていますが、一般に細胞外液と呼ばれる液体です。
 通常の手術などではこれらの点滴だけで十分なのですが、時々外科や麻酔科の先生が、「赤持ってきて!」、「白3本溶かし始めて!」「アルブミン持ってきて!」などと言い始めることがありますよね。出血が多くなったり、手術の前から貧血があったりした場合に行われる”輸血”です。これらでない液体は一般に”輸液”と呼ばれます。
 血液製剤には一般に輸血と呼ばれる、点滴から投与されるものから、生体糊(ボルヒール®)などの血液由来の成分から作られるものまでいろいろあります。このブログではいわゆる”輸血”についてお話していきます。

2014年9月2日火曜日

これからのこと

 宣言しておかないと書きそうにないので、まとめていく分野だけでも書いておきます(^_^;)
 
 モニタリングのお話
 輸血関連のお話
 人工呼吸関連のお話
 循環関連のお話
 術中合併症などのお話

 などからはじめていきたいと思います。