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2014年9月19日金曜日

輸血のお話②(ラベル)

Q:輸血のラベルに書いてあるアルファベットは何のこと?

 輸血製剤のラベルに"LR"や"Ir"などのアルファベットが書いてありますが、何のことがわかりますか?

  この"LR"というのは保存前白血球除去済み(Leukocytes Reduced)の略です。"Ir"というのは放射線照射済み(irradiated)の略です。



 白血球の除去は今ではすべての血液製剤に対して血液センターで行われています。この理由はいろいろな輸血の副作用を抑えるためです。ただし、白血球を完全に除去できるわけではありません(ベッドサイドでの白血球除去フィルターの使用でさらに効果が上がると言われています)。
 白血球除去により抑えられる副作用としては、発熱反応や白血球抗体産生に伴なう血小板輸血不応状態、サイトメガロウイルス(CMV)感染の予防、原因のよくわかっていない免疫抑制の予防などがあります。
 発熱は輸血製剤に含まれるヒト白血球抗原(HLA)に対する抗体が産生されることによる抗原抗体反応や、輸血製剤内で保存中に蓄積される炎症性サイトカインにより起こります。保存前に白血球の除去を行うことでこれらの副作用を減らすことができます。
 
 放射線照射を行う理由は、GVHD(移植片対宿主病)の予防のためです。GVHDに関しては別にお話ししますが、供血者(輸血を提供した人)の血液中のリンパ球が、投与された患者さんの血液中で増殖して患者さんの組織を攻撃してしまう疾患で、これを事前に血液製剤に放射線を当てることで予防できます。FFPにはリンパ球は含まれていないので、放射線照射の必要はないようです。つまり、その他の全血製剤や赤血球製剤、血小板製剤には当てます。
 放射線照射による予防処置を始めてから、輸血によるGVHDは平成12年以降発生していないようです(^^)

 
 








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