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2015年12月16日水曜日

静脈麻酔薬のお話②:プロポフォール注入症候群(PRIS)

Q:プロポフォール注入症候群(PRIS)とはどのようなものですか?

 プロポフォール5mg/kg/hr以上を48時間以上投与した場合に発生するまれだが、致命的な症候群で小児だけでく成人でも発症の報告があります。
 上記の投与量より少ない量および時間であっても発症の報告があるため油断できません。
 病態はリソソームとミトコンドリアの機能不全(遊離脂肪酸輸送が障害されることによる遊離脂肪酸代謝不全)であるとされています。
 主な症状としては、急性心不全を伴う心筋症、代謝性アシドーシス、骨格筋障害(筋融解)、筋障害に伴うCPK上昇、ミオグロビン尿、それに伴う腎不全、高カリウム血症、肝腫大、敗血症など。最終的に多臓器不全に至り、徐脈性不整脈、心停止で死亡します(怖)。
 乳酸アシドーシスやBrugada型心電図変化が前駆症状であると考えられています。
 特効薬は今のところなく、治療は対症的で、徴候を認めればただちにプロポフォールを中止し、乳酸・トリグリセリド除去目的の透析などを行います。最近ではECMOによる治療も注目されているようです。

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