麻薬のお話②：レミフェンタニル

Q：レミフェンタニル（アルチバ®）とはどのような薬剤ですか？

　フェンタニルと同様にオピオイドの１つです。麻酔に革命を起こしたとも言われる薬剤で、Ultimate TIVA（究極の完全静脈麻酔で「アルティメット・ティバ」）の実現を期待して命名された、らしいです。
　なんといってもその特徴は、「早く効いて強力で（一定濃度に達するのには比較的時間がかかりますが）、切れが早い」ということです。さらに、レミフェンタニルは血中にたくさんある非特異的コリンエステラーゼという酵素で分解されるため、肝臓が悪かろうが腎臓がわるかろうが気にせずに使用できます。
　投与方法は、ボーラス投与を行ってもそれだけだとすぐに効果が切れてしまうため持続投与を行います。フェンタニルに比べて循環動態への影響はやや強めです（血圧低下、徐脈など）。
　フェンタニルやモルヒネは投与が多い場合には呼吸抑制が問題になりますが、レミフェンタニルは素早く切れるため、術後の呼吸抑制が問題になることはほとんどありません。ただその切れのよさ故に術後鎮痛は全く期待できないため、手術終了前にはフェンタニルをはじめとする鎮痛薬を使用して鎮痛を図る必要があります（tranditional opioid）。