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2014年10月1日水曜日

輸血のお話⑫(急性溶血性輸血副作用)

Q:急性溶血性輸血副作用とはどのような副作用ですか?原因や対処も含めて説明してください。

 英語ではAHTR(Acute Hemolytic Transfusion Reaction)ともいいます。主な原因はABO型不適合輸血で、ほとんどは何らかの手続き上ののミスで起こります。血管内で抗原抗体反応が起こり、その結果溶血(血球が壊れてしまう)が生じ、著明なヘモグロビン血症、ヘモグロビン尿を認めます。この副作用は輸血後数分〜数時間以内に生じ最終的にショック、腎不全、DIC(播種性血管内凝固)を起こして最悪死に至ります

 意識があれば(麻酔中などでなければ)発熱や胸背部痛、呼吸困難などが生じます。麻酔中などであれば低血圧や原因不明の出血、ヘモグロビン尿、輸血後にヘマトクリット値が上昇しないなどで気づく場合もあります。

 対処としては、まずは輸血の中止です!同時に検査部(輸血部)に連絡するとともに、患者IDや照合ミスなどについて確認を急ぎます。輸血予定であった別の血液製剤についてもクロスマッチなど再検査をするように指示を出します。
 輸血中止後、乳酸リンゲル液などの細胞外液を急速投与しますが、使用していた輸血ラインは破棄し、新しいものを使用します。
 急速に出血が起きているような場合で輸血が必要な場合には(すぐに手に入らない場合が多いですが)、Rh(−)O型血液やAB型FFPを使用します。その後はバイタルサインを保ちながら十分な輸液を行い1ml/kg/時の尿量を確保します。尿量が少ないようであれば利尿薬の投与(マンニトールやフロセミド)も行い出来る限り腎不全に陥ることを予防します。
 適宜採血を行い、カリウムやLDH、ビリルビンやDICに関わる検査値(血小板やPT、APTT、FDPやD-ダイマーなど)もチェックします。


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